教育理念

アポロは人の心打つ瞬間を見逃さず、成長の種として育みます。
そこから人の中にある美しいものを見いだし、それを輝かせ、

確信ある良心を持って羽ばたけるよう導きます。

【理念について】

・人の心を打つ瞬間

 

子どもたち含め、人が成長するとき、あるいは成長したとき、そこには周りの人がみて心を打つ瞬間が起こります。

この瞬間を私は、人が「より良く生きる」ということについて命を確かに燃やしたと言える瞬間だと考えています。

これを「命知の瞬間」と私は言います。人はこの「命知の瞬間」を繰り返し体感していくことで、より良い人間として或いはより良い人生を歩む者になるべく成長していくと私は考えています。

 

 

・成長の種として育む

一般的に親や社会は、その定義に多少の違いこそあれ子どもたちに「幸せな人生を送ってほしい」と願います。そのために次に子どもたちに願うのが「成長」です。幸せな人生を送るために必要となる成長は、育てる者がいかに子どもたちの「命知の瞬間」を見逃さず承認し、成長の種として育めるかが肝要なのではないでしょうか。そうすることで、子どもたちは心打つ瞬間に生まれている行動や心のあり方を、自分の中の太い幹として根付かせることができます。

 

・承認することについて

医療フィルム「セカンド・チャンス」 スーザン
医療フィルム「セカンド・チャンス」 スーザン

人が幸せに生きていく上で絶対的に必要な感覚あるいは満たされなければいけない欲求として「誰かに自分を知ってもらいたい」「認めてもらいたい」があると言われます。

これは自分で充足させることはできません。自分以外の人から与えられることによってのみ充足させることができるのです。

その考え方において重要な理論となっているのが、マズローの欲求段階説であり自己実現論ですが、その中でも「誰かに自分を認めてもらいたい」という承認欲求が確かに言及されています。

しかしマズローはこの承認欲求について、この欲求は4番目の欲求であるとしています。これについては、私は違和感を感じずには入られません。

承認欲求は4番目ではなく、1番目にあげられるべき欲求ではないでしょうか。

1つの証拠として、アメリカで制作された医療フィルムである「セカンドチャンス」があります。生後22ヶ月の少女・スーザンが主人公のこのフィルムは、この私の違和感の重要な根幹となっています。

スーザンは両親からネグレクトを受け、体の成長が止まりました。医師による診断名は「母性愛欠乏症候群」でした。彼女は病院で、保母となった保育士や看護師から無条件の愛情をひたすら注がれ、自分の命について承認を一身に受けました。すると彼女は身体的にも精神的にも劇的な成長を遂げました。

承認欲求、それは無条件の愛を注がれることだと私は考えます。スーザンの脳は、承認を得られないことから成長ホルモンの分泌を著しく抑えました。しかし愛に基づく承認を得続けた結果、彼女の脳は再び成長ホルモンの分泌を始めたのです。

マズローは人が求める第1の欲求として「生理的欲求」を挙げました。しかし承認欲求を満たされなかった乳児は、その生理的欲求を満たすことよりも承認欲求を満たすことを選択したのです。そこから生理的欲求を十分に満たしていくことを求めたのです。

 

承認とは、人が生きる上で、その究極の状態にあっては生理的欲求以上に必要となる欲求なのです。

 

・人の中にある美しいものを見いだす

私たちの生きる世界には、言葉では説明できないものがあります。説明できなくても、確かにあると分かるものがあります。たとえば、美しい花を見て「美しい」と感じたとして、花が美しいということはわかっても「では美しいとは何か」という問いには答えられません。ソクラテスはこれを「美そのもの」というような表現をしています。「美しい」というのは何かわからなくても、美しいということはわかります。

それと同じように私たちが「良く生きる」と言うときの「良く」ということについて、様々な行動や事象から、どうやら「良い」というのはこういうものなのかなと感じることはできますが、「良い」というそのものについては、私たちはわからないのです。それでも「良い」というものを感じることはできるのです。

アポロの言う「人の中の美しいもの」というのは、この「良い」ということに他なりません。「この人、良い人だなぁ」と感じるとき、私はその人の中に美しいものがあるように見えます。そういう人に会った時、そういう行動をした人を見た時、「この人の中に美しいものがあるな」と感じるのです。

目の前にいる子について、この子の「良い」と感じるところを見出すことが、アポロの教育について必要となります。成長の種は、人の中にある「美しいもの」のかけらのようなものだと考えています。

 

そして、この「人の中にある美しいもの」というのは、すべての人に必ずあるものなのです。

 

・輝かせる

誰の中にも「美しいもの」は必ずあります。それが輝くことによって、それを見た第3者は美しさを感じ、励まされ、共により良く生きようと思う源泉や動機を得ることができます。

しかしこの美しいものは、最初は宝石の原石のごときものだと思います。特定の角度や状況によってのみ輝く状態です。アポロはこの原石を磨くことで常に輝けるよう子どもたちに働きかける必要があると考えます。

「人の中にある美しいもの」を常に「輝いている」状態というのは、第3者が「美しいな」と感じられる行動や考え方を、再現性を持って自分の中に持つことです。

 

これが態度教育につながります。

 

・確信ある良心をもって羽ばたけるように

「美しさ」を感じる行動や考え方に再現性を持つことができているとき、一般的に言われる「良心」を自身に内在させることができていると言えると私は考えています。いざ社会に出ると、様々な価値観や状況が自分の身に降りかかります。その時に良心に従って考え行動できるかどうかは、自分がその良心をどれだけ確信できているかにかかっています。この確信を与えることができなければ、教育は社会の要請に応える機関として、教育機関としての最終顧客である社会に対して無責任であると言えます。アポロは社会に対して責任を持ちます。